加齢による膝の痛み
加齢による膝の痛みの症状は、変形性膝関節症によるものが一般的です。
40歳を過ぎると、膝関節の表面を覆っている軟骨の水分が減っていき、軟骨は固く弱くなってきます。老化により、膝の動きをスムーズにするためのヒアルロン酸という潤滑物質は減少します。
このため、「膝の運動で膝が腫れやすくなる。」「軟骨の表面がすり減る。」などの症状があらわれます。軟骨が固くなり、柔らかさがなくなると、膝の骨に余計な力が加わり、関節の骨が刺激で棘のように横に張り出す「骨棘」というものが形成されます。
この骨棘が大きくなると関節の曲がりの動作を妨げるため、曲がりが悪くなります。
このように、膝の変形が進み、痛みも強くなると、膝周囲の筋肉が落ちてきます。筋肉が落ちてくると、歩行や階段昇降が困難となります。
上記のように、加齢によって膝に段階的に起こる症状に対して、それぞれ治療があります。
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ヒアルロン酸の関節内注射:関節の動きをなめらかにして、痛みを軽減
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運動器リハビリーテーション:筋力訓練、関節の動きを維持または改善
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疼痛緩和のための内服:歩行時の痛みを軽減
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理学療法:各種機器により関節の腫脹や筋肉痛の緩和
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手術:関節の変形により痛みの改善が得られない場合
上記の1から4での各種手法で、膝痛の軽減と歩行能力の改善を図ります。
これで効果が得られない場合、5の手術による改善を目的とし、膝手術の専門医にご紹介いたします。
若い女性に多い膝の痛み
膝の痛みは、高齢者だけではなく若い人にもしばしば出現いたします。
けがによらず出現する痛みとしては、若い女性にみられる膝蓋軟骨骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)が代表的です。
膝痛の特徴としては、
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平地歩行では痛みがなく、
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階段昇降、膝の屈伸時に痛みが出る、
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しゃがみ込みから立ち上がり時に膝で音がする、
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しばしば両膝痛が同時に起こる、
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膝蓋骨(膝のお皿)を押すと痛みが強い。
などがあります。
この疾患では、膝の痛みは、屈伸により出現し、痛み止めはほとんど有効ではありません。
当院では、セラピストによる運動リハビリテーションを行っています。週1回程度の加療で、1-2か月で、膝痛軽減が得られることが多く、多くはリハビリのみで痛みの改善が得られています。