手外科

手外科とは

手外科とは手外科では、肩から下の部分である上腕、肘、手関節、指などの上肢全体を専門的に診る診療科です。
手は繊細な作業を行うことができ、触感では目で確認できないほどわずかな差を察知することもできますが、重いものを持ち上げるなどの作業でもその役割を果たしています。デリケートな作業と力仕事の両方で活躍するため、手はとても複雑で細かい構造を持っています。そのためちょっとしたケガを負っても日常生活がスムーズに行えなくなりますし、お仕事への支障も出てきます。
当院では手の骨や関節、神経、腱、血管、靭帯、筋肉などに関する知識と技術の研鑽を重ね、特殊な役割を持った手の機能について精通した手外科専門医が診療を行っています。

手外科専門医について

手外科専門医について手外科専門医は、手の疾患や手術に関して継続的に教育研修を受けた上で手の手術を毎年一定数以上行っている医師に、手外科学会が認定する資格です。この資格を取得するには日本整形外科学会専門医、日本形成外科学会専門医を持っていることが前提となっています。

手外科の疾患について

ガングリオン

関節を包む関節包や腱鞘の一部が袋状になったもので、中には滑液という潤滑液がたまっています。米粒大からピンポン玉大までの大きさのものが多いです。

肘部管症候群

肘の内側にある肘部管で尺骨神経が絞扼や伸長され、麻痺が起こっている状態です。主な原因には、スポーツや重労働、神経を固定している靭帯や筋肉による圧迫、加齢による骨の変形、小児期の変形治癒骨折などがあります。

野球肘

成長期に起きる肘の投球障害で、損傷が起こっている場所により対応が分かれています。上腕骨の関節軟骨が肘の外側で損傷しているタイプ、内側で靭帯・骨・軟骨が損傷しているタイプ、後方で骨・軟骨が損傷されるタイプです。ボールの投げ過ぎが主な原因ですが、投球フォームに問題がある場合には、治療と並行してフォームの矯正も必要になります。

テニス肘
(上腕骨外側上顆炎)

上腕骨の外側上顆に付着している腱組織は、手関節を背屈する筋と指を進展する筋の起始部です。テニス肘では、この腱が骨から少しずつ剥脱して疼痛が起こっています。他に、関節内の滑膜ヒダ損傷によって同じような症状が現れてくるケースもあります。

TFCC(三角線維軟骨
複合体)損傷

TFCCは、橈骨と尺骨という2つの前腕骨にある遠位橈尺関節を安定させる靱帯などの支持組織のことです。支持組織が何らかの理由により失われて遠位橈尺関節が安定を失うことで、疼痛が起こり、前腕の動きが制限されている状態です。

母指CM関節症

母指付け根の手関節に近いところが出っ張ってきます。なにかつまみ上げたり、つかんだりする際に痛みが生じ、進行により母指が開きにくくなって変型を来します。

尺骨突き上げ症候群

前腕骨の尺骨が橈骨に比べ長いことから痛みが起こっています。レントゲン検査によってわかります。生まれつき尺骨が橈骨に比べ長いケース、骨折などによるものなどがあります。尺骨突き上げ症候群は、TFCC損傷や関節軟骨障害を起こす可能性があるため、早めに受診してください。

ヘバーデン結節

指の一番先の関節(DIP関節)が変形する変形性関節症です。40歳以降の女性に多く、原因には体質や女性ホルモンなどが関わっているとされています。

ブシャール結節

ヘバーデン結節と同様に変形性関節症です。指先から2番目にあるPIP関節に変形と疼痛が現れます。

マレット指(槌指変形)

伸筋腱断裂による腱性マレット指、末節骨の関節内骨折による骨性マレット指があります。腱性マレット指はPIP関節が過伸展してしまう“スワンネック変形“を、骨性マレット指は関節の脱臼を起こす可能性があるため、早めに受診してください。