手根管症候群の原因
手のひらの付け根には手根管というトンネルがあり、その中には正中神経が通っています。トンネルが何らかの理由で狭くなると正中神経が圧迫され、血流の悪化によりしびれや痛みが生じます。これが手根管症候群の原因です。
正中神経が圧迫されている状態が長期間続くと、しびれや痛みの他に、正中神経が支配する部分の筋肉がやせ衰えて、親指が動かしにくくなる運動障害が生じ、しびれが慢性化してしまいます。
正中神経が圧迫される原因
手根管内に
余分なものがたまる
腫瘍(ほとんどが良性)、リウマチによる滑膜炎、血液透析などにより、手根管に余分なものがたまって正中神経が圧迫されることで起こります。
ホルモンの変化や
代謝性疾患による
手根管内部のむくみ
手根管内部にもむくみは起こります。妊娠や出産、甲状腺機能低下症などによるむくみで正中神経が圧迫されます。生活習慣病になりやすい更年期には特に注意が必要です。
手の使い過ぎ
片手のみに、しびれが出現している場合は手の使い過ぎで腱やその周囲が腫れて、手根管内が窮屈になるといったことが手根管症候群の原因になっていると推定できる場合もあります。
その他
肥満も手根管内を通る正中神経の圧迫につながります。肥満や生活習慣病の改善、手の酷使を止めるなどで正中神経を圧迫する原因を減らし、症状軽減や再発防止につなげることも重要です。
人工透析と手根管症候群
人工透析を長年受けているとアミロイドという物質が骨・関節に沈着します。手根管という手の付け根にアミロイドがたまることにより手根管症候群が生じることが知られています。透析に伴う手根管症候群は、手術後もアミロイドの沈着により数年後に再発することもあります。再発例でも手根管開放術は有効であると考えられています。当院でも透析で再発した手根管症候群で手術を行っていますが、2度目以降であってもしびれは改善しています。