肩の痛みにかかわる疾患で、四十肩、五十肩というものがあります。厳密には、医学的な病名ではなく俗称といった方があっていると思います。名前はさておき、これは肩の痛みと関節の動きの制限を特徴としております。これは、肩の各種疾患の結果により起こり、時には、肩の手術の後に生じることもあります。
わたくしが、病院勤務をしていた当時、肩の内視鏡手術の一つとして、授動術(かたくなった関節を動くようにする手術を行っておりました。この授動術には、俗にいう手術を行って、関節を動くようにする「観血的」授動術とメスを加えずに術者の手で関節を動くようにする「非観血的」授動術があります。後者は、切ることはしないのですが、手の力で、貼りついた関節の袋をはがすというものです。この方法では、関節の袋がはがれた瞬間に「ボソッ」という音がします。
この「非観血的授動術」(または、徒手授動術は、外来でも行えるため、現在でも行っております。「ボソッ」の音の後、肩の動きがよくなると、患者様は、急に上がるようになった腕に驚かれます。わたくしの方は何とも言えぬ喜びを感じます。
ただし、この方法は、あまり長期にわたり肩がかたまった人には、うまくいかないこともあり、四十肩は、ほっておけば治ると思わないでいただきたいものです。